主婦日本語教師がChatGPTで実験してみた!日本語教育に新風を吹き込む革新ツールの実力とは?【後編】

主婦日本語教師がChatGPTを使ってみたらマトリックスについて分かった!

フリーランスオンライン日本語教師のEmiです。

前回の記事はこちら!

目次

ChatGPTと日本語教育

前編の記事では、ChatGPTについて興味を持ち、調べていたら映画マトリックス(1999)についての理解を深めることができた、というお話をしました。

そこで、後編では、そのChatGPTを「日本語教育」という視点から考えてみる回にしたいと思います。

今回は「日本語教育」という広い枠の中でも特に「JLPT(日本語能力試験)」との関係で考えていきたいと思います。

ChatGPTはJLPTのレベルを理解しているか?

JPLT=Japanese Language Proficienct Testとは、日本語能力試験のことで、日本語教育において学習者の日本語レベルの指標とされるものです。

レベルはN1~N5の5段階で、N5が最もやさしいレベルで、N1が最も難しいレベルとなっています。

出典しゅってん  日本語能力試験にほんごのうりょくしけん公式こうしきウェブサイト(https://www.jlpt.jp/)

それぞれのレベルには、以下のような目安が設定されています。

N1幅広い場面で使われる日本語を理解することができる。
N2日常的に使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる。
N3日常的に使われる日本語をある程度理解することができる。
N4基本的な日本語を理解することができる。
N5基本的な日本語をある程度理解することができる。
参考  日本語能力試験にほんごのうりょくしけん公式こうしきウェブサイト(https://www.jlpt.jp/)

まず私が日本語教育に関して最初にChatGPTで実験してみたことは、

ChatGPTはJLPTレベルを認識しているか?

ということでした。

N5、N4レベル

実際にJLPT N5レベル N4レベルについて、聞いてみた回答がこちらです。

日本語能力検定N4、N5レベルとはどのくらいですか?

N5=「基本的な日本語を理解する」、N4=「日常の場面でコミュニケーションが取れる」というざっくりとした概念が当てはまる程度には、JLPTのレベルを理解しているように見えました。

出典しゅってん  日本語能力試験にほんごのうりょくしけん公式こうしきウェブサイト(https://www.jlpt.jp/)

N3、N2、N1レベル

同様に、N3レベルの記述はこちらです。

N2、N1に比べると難易度は低いが、基本的な生活や旅行などで、日本語を使って情報のやりとりができることが示されています。

続いて、N2レベルの記述です。

N3から飛躍し、新聞記事やビジネス文書といった‟より幅広い場面で使われる日本語”を理解できるレベルであるというポイントを押さえています。

最後に、最もレベルの高いN1レベルの記述です。

こちらは‟ほぼすべての日本語のコミュニケーションに対応できる”という最も高いスキルであることが示されています。

ChatGPTのJLPTレベル理解については、細かなレベル分けとまではいかなくとも、大きな枠組みとしてのレベルは正しく捉えているのではないでしょうか。

日本語教育教材づくりに活用できるか?

ChatGPTのJLPTレベル理解についての現状が分かったところで、日本語教育教材作りに関して「ChatGPTでこんなことができるのでは?」と考えたことを実験してみました。

ある特定のレベルの学習者向けに、読解用の教材を作成してみるのはどうかな?

実験①JLPTのN2レベルの学習者に最適な日本語の文章を提案してください。条件は、

  • 200字程度
  • 最近のニュースを扱った内容

そして出力された答えが、こちらです。

テーマは「最近のニュース」ということ以外は特に指定しませんでしたが、ChatGPTが再生可能エネルギーについての文章を作成してくれました。

続いて、N4レベル向けだとどうなるのか、実験してみました。

条件は先ほどのN2のものと変えずに、レベルだけ変更してみました。

実験②JLPTのN4レベルの学習者に最適な日本語の文章を提案してください。条件は、

  • 200字程度
  • 最近のニュースを扱った内容

そして出力された答えが、こちらです。

今度は「新型ロボット」についての文章でした。

最終行の表現で、

‟社会にポジティブな影響を与えている~”

という言い回しは、やや不自然にも思えますが、内容やレベル感でいうと全く外れているということもないなと思ったのが正直な感想です。

ここまでのことができるなら、日本語教育教材の作成の手助けとして、ChatGPTを活用することは十分に可能だと思いました。

まとめ

ここまで、ChatGPTが日本語教育教材に使えるかどうかという視点で考えてみました。

ChatGPTがJLPTのレベルを大枠では理解し、そのレベルに概ね沿った日本語の文章を作成することは可能であると分かりました。

しかし、ChatGPTも万能という訳ではありません。

学習者に合うレベルか、自然な日本語表現か、という点で見ると、ChatGPTが生成したものをそのまま教材として提供するということはあまりお勧めはできないというのが現状だと感じました。

ChatGPTの機能性能に頼りすぎず、教師がしっかりと内容を検討・修正したうえで学習者に提供するといった使い方が重要になってくるのではないでしょうか。

先日、ChatGPTを含む、生成AI活用について日本語教師という視点から考えるセミナーに参加しました。

以下の記事で紹介していますのので、是非読んでみてください。

前編・後編に渡ってChatGPTについてお話してきました。ChatGPTについてはまだまだ勉強中ですので、またこのカテゴリーで色々な記事をUPしたいと思っています。

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