「日本語教育能力検定試験」テクニックを使って音声問題にチャレンジしよう!

フリーランスオンライン日本語教師のEmiです。

前回の記事では、「日本語教育能力検定試験」音声の問題、特に学習者の発音上の問題が何か問われる設問を解くためのテクニックをご紹介しました。

まだの方はこちらから読んでくださいね。

今回の記事では、実際にそのテクニックを使って解きながら解説していきたいと思います。

このテクニックを身につけると、これまで「なんとなく感覚で答えていた」というかたも、一歩一歩道筋をたどって解答にたどり着けるようになりますよ。

例題を始める前に、まずは、前回の記事でご紹介した、母音の▽の図、子音の表を書いておいてください。

目次

例題1

では、さっそく例題にチャレンジしていきましょう。

■例題 発音上の問題は?

正)んきょう → 誤)んきょう

「べ」(be)も「ぶ」(bu)も 両唇 破裂音 b (有声音)です。調音点・調音法の誤りはないです。

では、母音の違いはどうでしょうか…以下の母音の図、eu の場所を見てください。

正)(be)んきょう → 誤)(bu)んきょう

eu を比べると、舌の前後位置と舌の高さが違っています

■例題の答え 発音上の問題は? 解答… 舌の前後位置 と 舌の高さ

正)んきょう → 誤)んきょう  

例題2

では、次に子音の練習に移りましょう。以下の例題は、毎年、本番の試験の例題で出される問題で、公式過去問やその他対策テキスト等でも扱われています。

■例題 発音上の問題は?

正)べんきょうました。 → 誤)べんきょうすぃました。

子音の表を見て確認しましょう。

正)ました。の「」は、歯茎硬口蓋摩擦音です。

誤)すぃました。の「(ぃ)」は、歯茎摩擦音です。表に追記しましたが、発音記号 s の音は「サスセソ」の音です。

どちらも調音法は摩擦音(無声音)です。異なっているのは調音点です。

■例題の答え 発音上の問題は? 解答… 調音点

正)べんきょうました。 → 誤)べんきょうすぃました。

サ行は頻出問題ですので、必ず得点できるようにしてしまいましょう!

その他、サ行 の例

  • てください → かすぃてください。
  • ずかですね → すぃずかですね。
  • れんゅうしました → れんうしました。  など

例題3

次は、もう少し複雑な問題を見てみましょう。

■例題 発音上の問題は?

正)おゃく → 誤)おゃく

正) は、k の音で、軟口蓋 破裂音です。

誤) は、歯茎硬口蓋 破擦音です。※表では チュ と記載していますが、破擦音の調音点の違いを問う頻出問題対策として個人的に「チュ」としたものです。(例 くえ→ちゅくえ)

今回の例は、調音点・調音法ともに異なっています。こちらの表を見れば、二つの誤りの場合も落ち着いて解答にたどり着くことができます。

■例題の答え 発音上の問題は? 解答… 調音点 と 調音法

正)おゃく → 誤)おゃく

口腔断面図と子音の表

練習問題を3つ見たところで、ここで初めて口腔断面図の話をしていきたいと思います。

前回の記事からここまで、口腔断面図を覚えることは特にしていなかったと思います。子音の表を使って少し説明しておきます。

既に確認済みのこと

  • 鼻音…のどが開いている ※鼻音以外は閉鎖
  • 摩擦音…通り道(調音点)にすき間が開いている ※摩擦音以外は閉鎖

口腔断面図の中で、他にポイントとなるのは、舌の動きです。舌の動きは、調音点ごとに見ていきましょう。上に赤で書き足した図と一緒に見てくださいね。

両唇平坦
歯茎舌先が歯茎
歯茎硬口蓋歯茎より後ろの前寄りに盛り上がる
硬口蓋中央に大きく盛り上がる
歯茎軟口蓋中央より後ろに盛り上がる

両唇音と歯茎音はシンプルなので、イメージしやすいと思いますが、必ず、鼻音の喉の開き、摩擦音のすき間というのを念頭に置いておいてください。

以上の情報を頭に入れておけば、口腔断面図を見たときにどの音を示しているか、必ず分かるようになります。

断面図の見分けにチャレンジ

では、実際に口腔断面図を見て、どの子音の音を示しているか、考えてみましょう。

例題①

①のど…ぴったりと閉まっています。鼻音ではないことは確かです。

②通り道に狭いすき間が開いています。摩擦音ということが分かります。

③舌の動きは、舌先が歯茎近くです。

歯茎 摩擦音 ですね!

■これは、この例題の解答でもあります。

正)べんきょうました。 → 誤)べんきょうすぃました。

例題②

①のど…開いています。鼻音です。

②舌の動きは、歯茎より後ろの前寄りに盛り上がっています。

歯茎硬口蓋 鼻音 ですね!

■このような設問での解答になります。

正)こ → 誤)にぇ

まとめ

いかがでしたか。

前回の記事とあわせて、音声問題、特に学習者の発音上の問題が何か問われる設問を解くためのテクニックをご紹介し、実際にそのテクニックを使って例題を解いてみる練習をしてきました。

実際の試験でも、冒頭で例題等が読み上げられている時間を使って、問題用紙の空いているところに母音の▽の図、子音の表を素早く書いてください。これらを使って、解答を導いてくださいね。

少しでも音声問題を解くお手伝いができていれば嬉しいです。

改めて、音声問題対策におすすめのテキストをご紹介しておきます。

今回、記事を書くにあたり見返してみましたが、やっぱりアルクの試験対策テキスト(黄色いテキスト)は、音声問題が分かりやすかったです。子音の表、口腔断面図の表、どちらも眺めているだけでも理解が深まります。おすすめです!

日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第5版 (EXAMPRESS) [ ヒューマンアカデミー ]
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