日本語教師の国家資格は独学で取得できるのか?未経験の場合の取得方法は?

日本語教師の国家資格は独学で取得できるのか?未経験の場合の取得方法は?

フリーランスオンライン日本語教師のEmiです。

日本語教師の国家資格を独学で取得したい場合、どうすればいいのか知りたい。日本語教師の勉強は未経験。知識ゼロから勉強したいんだけど…

今回はそんな疑問をお持ちの方に、お役に立てる情報をお話したいと思います。

※この記事は2024年5月時点での情報を踏まえた内容となっています。

目次

国家資格「登録日本語教員」とは?

まず初めに、国家資格「登録日本語教員」について簡単にお話します。

日本語教師の国家資格制度は2024年4月に始まりました。

これまで一般的に広く「日本語教師」と言われていた職業について、国家資格の名称が「登録日本語教員」となり、民間資格「日本語教師」と区別されるようになりました。

国家資格である「登録日本語教員」は、日本国内の認定日本語教育機関(日本語学校等)で指導する場合に必要となるものです。

国内の認定日本語教育機関(日本語学校等)で教えたい
国家資格必須

それ以外の機関で教えたい(フリーランスやボランティア活動など)
国家資格不要

補足)ボランティアやフリーランスで国内の認定日本語教育機関以外で教えたい場合は、国家資格は取得する必要はありませんが、活動の仕方によっては何らかの日本語教育関連資格が必要な場合があります

多くは、以下のようなものです。

  • 日本語教育能力検定試験合格
  • 420時間日本語教師養成講座修了
  • 大学等で日本語教師養成課程修了

私は「日本語教育能力検定試験合格」「420時間日本語教師養成講座修了」の証明書類を提出し、オンラインプラットフォームに登録しています。形態はフリーランスです。

「登録日本語教員」の資格取得方法【現職者以外】

既に日本語教師として現職で働いている方(現職者以外でも特定の要件に当てはある方)は、資格取得に関わる経過措置が取られます。資格取得までに必要とされる試験や研修の一部が免除されるという措置です。

では、現職者ではない、初めて日本語教師を目指す方は、どのような方法で「登録日本語教員」取得を目指せるのでしょうか。以下の文化庁の資料を見てみましょう。

これから登録日本語教員の資格にゼロから挑戦したい場合は、「養成機関ルート」と「試験ルート」の2つのルートがあります。

「登録日本語教員の登録申請の手引き」(文化庁)より抜粋

試験ルート

シンプルなのは試験ルートで、基礎試験・応用試験に合格して、実践研修(実習)を行うというルートです。

基礎試験・応用試験というのは、国家資格取得のために合格必須となる「日本語教員試験」の2つの分野を指しています。

「日本語教員試験」

基礎試験
日本語教育を行うために必要となる基礎的な知識及び技能を区分ごとに出題。

応用試験
基礎的な知識及び技能を活用した問題解決能力を測定。教育実践と関連させて出題。音声を用いた、より実際の教育実践に即した問題を出題。問題解決能力や現場対応能力等を測定。

※(参考)文化庁「登録日本語教員の登録申請の手引き」

この試験は2024年(令和6年)11月17日(日)に第1回が実施されることになっている、国家資格化に伴って開始される新しい試験です。

合格したら、次に実践研修(実習)を受講します。

実践(実習)主な内容
・オリエンテーション
・授業見学
・受講生同士での模擬授業
・教壇実習
・教育実習全体の振り返り        など

実践研修(実習)は、文部科学大臣の登録を受けた登録実践研修機関において行うことになっています。

登録実践研修機関については、令和6年秋以降にどの機関が該当となるのか分かってくるようです。(日本語教育機関認定法ポータルで確認できます。)

つまり、「日本語教員試験」(基礎試験・応用試験)に合格することが第一のステップですね。

試験ルートで国家資格を取得するには…

・「日本語教員試験」(基礎試験・応用試験)に合格する
・ 登録実践研修機関で実践研修(実習)を行う

養成機関ルート

試験ルートのほかに、養成機関ルートがあります。もう一度先ほどの図も確認してみましょう。

「登録日本語教員の登録申請の手引き」(文化庁)より抜粋

養成機関ルートは2種類あります。この違いについては、受講する養成機関の違いによるものです。

まず前提として、養成機関ルートで登録日本語教員の資格取得のためには、文部科学大臣の登録を受けた機関(=登録日本語教員養成機関)で課程を修了しなければなりません。

その機関が、実践研修(実習)を行う登録実践研修機関の認定も受けていれば(〇)、養成課程と一体的に実践研修(実習)を実施します。

実践研修(実習)を行う登録実践研修機関の認定を受けていなければ(✖)、別の登録実践研修機関で実践研修(実習)を実施することになります。

文部科学大臣の登録を受けた「登録日本語教員養成機関」は、令和6年秋以降に登録状況が明らかになる予定となっています。(日本語教育機関認定法ポータルで確認できます。)

いずれの場合も、養成機関ルートの場合は「日本語教員試験」の受験において「基礎試験」は免除となります。「応用試験」のみ受験・合格が必要です。

また、「応用試験」の受験・「実践研修(実習)」の受講は、養成機関での養成課程修了見込みでも可能となっていて、登録日本語教員の登録までに修了が求められることになっています。

養成機関ルートで国家資格を取得するには…

・ 登録日本語教員養成機関で課程を修了する
・(機関の認定状況により)同機関又は別の登録実践研修機関で実践研修(実習)を行う
・「日本語教員試験」(応用試験)に合格する ※(基礎試験免除)

独学するなら試験ルート

ここまでお話してきたことをまとめると、

登録日本語教員の資格にゼロから挑戦したい場合、「養成機関ルート」と「試験ルート」がある

試験ルートで国家資格を取得するには…

・「日本語教員試験」(基礎試験・応用試験)に合格する
・ 登録実践研修機関で実践研修(実習)を行う

養成機関ルートで国家資格を取得するには…

・ 登録日本語教員養成機関で課程を修了する
・(機関の認定状況により)同機関又は別の登録実践研修機関で実践研修(実習)を行う
・「日本語教員試験」(応用試験)に合格する ※(基礎試験免除)

以上のことから、養成課程等に通うことなく、独学で資格取得をしたい場合、

試験ルート「日本語教員試験」(基礎試験・応用試験)合格を目指すのが第一ステップです!

ただし、独学で試験合格後に、別途登録実践研修機関で実践研修(実習)を行うことは必須となります。

「日本語教員試験」と「日本語教育能力検定試験」

では「日本語教員試験」は独学でどのように合格を目指せばいいでしょうか。

まず、「日本語教員試験」ですが、先ほども触れた通り、国家資格化に伴って令和6年に第1回試験が実施される新しい試験です。

前例のない試験ということですね。試験対策はどのようにすればいいですか?

大丈夫です!対策の方法はありますよ!

その前に「日本語教員試験」の出題範囲について見ておきましょう。

「日本語教員試験」出題範囲

日本語教員試験 出題範囲
  • 社会・文化・地域
  • 言語と社会
  • 言語と心理
  • 言語と教育
  • 言語

これは、必須の教育内容で示されている区分です。日本語教師養成において、必ず実施すべき内容とされるものです。

基礎試験、応用試験それぞれにおける出題範囲・形式は、以下の通りです。

「日本語教員試験」

基礎試験
→上記の必須の教育内容から網羅的に出題

応用試験
→教育実践と関連させて、区分を横断しての出題、音声を用いた、より実際の教育実践に即した問題

実は、「日本語教員試験」の出題範囲は、民間資格の試験「日本語教育能力検定試験」の出題範囲と全く同じなんです。(必須の教育内容)

「日本語教育能力検定試験」との比較

「日本語教育能力検定試験」は昭和62年から実施されていて、令和6年度で38回目を迎える試験です。

民間資格「日本語教師」の試験として広く知られているものです。「日本語教育能力検定試験」の出題範囲は、先ほど触れた「日本語教員試験」の出題範囲と同じです。

日本語教育能力検定試験 出題範囲
  • 社会・文化・地域
  • 言語と社会
  • 言語と心理
  • 言語と教育
  • 言語

2つの試験の概要 

2つの試験は出題範囲が同じなので、基本的には民間資格「日本語教育能力検定試験」の試験対策を行えば、国家資格の「日本語教員試験」対策になると言われています

それではこの2つの試験を比較して見てみましょう。

日本語教育能力検定試験日本語教員試験(新試験)
令和6年度 実施日10月27日(日)11月17日(日)
実施機関公益財団法人 日本国際教育支援協会令和6年度は 国
令和7年度以降は法人が指定される
試験区分試験I
試験II(聴解)
試験III
基礎試験
応用試験(聴解・読解)
試験時間・問題数試験Ⅰマーク式100問 90分
試験Ⅱマーク式40問 30分
試験Ⅲマーク式80問+記述400字 120分
基礎試験 マーク式100問 120分
応用試験
・聴解 マーク式50問 45分
・読解 マーク式60問120分
合格基準7割以上(正式公表はされていません)
合格率3割程度
受験料17,000円18,900 円
申込時期令和6年7月1日(月)から7月31日(水)まで
(オンライン出願)
令和6年夏頃予定
「日本語教員試験」の試験区分、試験時間・問題数は、先行して行われた施行試験の実績です。

出題範囲は同じですが、試験区分(試験の構成)や試験時間、問題数などは上記の通り少し異なります。

「日本語教員試験」独学で対策

これまで見てきた通り、「日本語教員試験」は民間資格「日本語教育能力検定試験」の対策と基本的に同様に行うことができると分かりました。

それでは、具体的な独学での学び方を3つご紹介していきます。それぞれどんな人に向いているかも合わせて検討してみてくださいね。

対策セットで徹底的に学ぶ

向いている人

・各分野ごとのテキストをまとめて入手したい。
・すべての分野をまんべんなく学びたい。
・合格後の実習を見据えてDVDで教育実習の現場も学びたい。
・アルクの教材で是非学びたい。

アルクの対策テキスト

語学系の書籍・テキストと言えば「アルク」を思い浮かべるという方も多いと思います。

アルクから網羅的なテキストセットが出ています。

私も「日本語教育能力検定試験」の対策では、セット内の黄色い対策問題集のテキストを使用していました。

テキストサンプル、動画サンプルを見てみる

NAFL 日本語教育能力検定試験合格セット

教材構成
・学習ガイド
・テキスト24冊
・CD7枚
・DVD1枚
・『改訂版 日本語教育能力検定試験に合格するための用語集』
・『日本語教育能力検定試験 対策問題集』
・勉強会動画13本

対策問題集とは別に、CDが7枚もついているので、音声分野をじっくりと学べる内容となっています。

国家資格「日本語教員試験」では、「日本語教育能力検定試験」よりも音声分野の出題数が増えることから、音声問題対策をいかに行うかが、合格へのカギとなるかもしれませんね。

忙しい人必見。隙間時間で対策。

通信講座で着実に学ぶ(通信講座スクール)

向いている人

・「通信講座」で何かを学ぶことが好き。
・ 進め方のアドバイスに沿って着実に学習を進めたい。
・まずは資料を見てからじっくり講座を決めたい。

独学したいといっても、スケジュールを立てて自分を律して学習を進めていくことは容易なことではありません。

自己管理が苦手、という方でも、進め方のアドバイスがあったり、テキストに沿った進め方でスケジューリングがしやすかったりするのが通信講座のいいところです。

また、すぐにお金を払って開始ではなく、まずは資料請求でどんな通信講座なのか、中身を知ってから申し込めるのも嬉しいです。

下のボタンからも無料で資料請求できます。

\ 合格総合講義 /
日本語教育能力検定試験 合格総合講義 (オンライン講座)
(アガルートアカデミー のサイト)
※アガルートアカデミーは、オンライン講義の配信を中心とした資格講座を扱っています。

\ 複数の講座をまとめて資料請求 /
日本語教師【通信講座】の資料を無料請求
(BrushUP学び のサイト)

対策テキストや過去問を買って学ぶ

向いている人

・自分に必要なテキストだけを購入して学びたい。
・数冊の対策テキストや過去問だけを使って費用を抑えて学びたい。
・自律的に学習を進めるのが得意だ。

まず「日本語教員試験」対策として発売されている用語集はこちらのアルクの用語集です。演習問題などではなく、あくまでも用語集です。

アルク「日本語教員試験」対策用語集

以下は、元々「日本語教育能力検定試験」対策用ですが、出題範囲が同じ「日本語教員試験」対策としてもおすすめされるテキストです。

定番の一冊

ヒューマンアカデミーの赤いテキストは通称「赤本」と呼ばれていて、最も定番のテキストです。
まさに教科書的に詳しい解説+演習問題+演習問題の解説となっています。「日本語教育能力検定試験」の多くの受験者がこれで対策をします。

音声問題が分かりやすいアルク

「日本語教育能力検定試験 対策問題集(アルク)」は、演習問題+解説となっています。先ほどのアルクのNAFL 日本語教育能力検定試験合格セットにも含まれているテキストです。

必ず解いておきたい過去問

「日本語教育能力検定試験」と「日本語教員試験」の出題形式は少々異なりますが、マークシート方式に慣れるためにも、過去問は数年分解いておきたいものです。

まとめ

ここまで、知識ゼロから日本語教師の国家資格を独学で取得したい場合、どうすればいいのか、お話してきました。

ポイントは2点。

試験ルートで「日本語教員試験」(基礎試験・応用試験)に合格するための独学は可能。
→前例のない試験のため、出題範囲が同じである民間資格「日本語教育能力検定試験」の試験対策と同様に行うことで、試験対策を行うことができる。

「日本語教員試験」合格後は、登録実践研修機関で実践研修(実習)を行うことは必須

独学の方法

・試験対策セットで学ぶ
・通信講座で学ぶ
・対策テキストや過去問を買って学ぶ

「日本語教育能力検定試験」「日本語教員試験」、試験日程も近いことから、試験対策をして両方の試験を受験してみるのもいいかもしれませんね。

NAFL 日本語教育能力検定試験合格セット

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