日本語教育能力検定試験 過去問 令和5年度 論述問題をAIに書かせてみたらどうなった? 主婦日本語教師の実験

日本語教育能力検定試験 過去問 令和5年度 論述問題をAIに書かせてみたらどうなった? 主婦日本語教師の実験

フリーランスオンライン日本語教師のEmiです。

今回は、令和5年度の論述問題 試験IIIの問題17 を、AIに解答させてみるとどんな文章を生成するかを実験してみたいと思います。

試験問題は掲載できませんので、問題(過去問)はご自身でご用意くださいね!

令和5年度過去問 はコチラから!

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目次

日本語教育能力検定試験 過去問 令和5年度 AIに指示

極力、出題形式そのもので実験してみよう!

今回の実験にあたり、どのようにプロンプトを入力したかについてですが、ほぼ何も手を加えずに行ってみました。

  • #指示 に問題文をそのまま入力
  • #条件 にキーワードのリストを入力

ChatGPT の解答

ではまず、OpenAIのChatGPTが生成した文章から見ていきましょう!

授業では、まず「高齢者の運転免許の返納」に関するスキーマを生徒たちに尋ねます。それぞれがこれに関する自分の知識や経験を共有し、議論を促します。次に、テキストの見出しや図表を提示し、仮説を立てさせます。「この記事の主題は何だと思いますか?」と尋ね、生徒たちが自分なりの仮説を立て、討論させます。これにより、トップダウンの読み方を促します。

次に、生徒たちに能動的な読み方を促すために、テキストをスキャンして情報を抽出する演習を行います。具体的には、見出しや図表、章立てを元に、本文を読まずに情報を推測させます。その後、実際に本文を読み、仮説と照らし合わせ、議論を深めます。これにより、生徒たちは情報を積極的に探求し、能動的に読むスキルを身につけます。

最後に、相互作用を通じて理解を深めます。生徒たちはグループに分かれ、それぞれが異なる情報を持ち寄ります。その後、グループ内で情報を共有し合い、それぞれの見解を述べ合います。このプロセスにより、相互作用が生まれ、異なる視点からの理解が深まります。さらに、他のグループとのディスカッションを通じて、より広い視野での議論が可能となります。

この一連の活動を通じて、生徒たちはスキーマを活用し、仮説を立て、能動的に読むスキルを身につけ、相互作用を通じて理解を深めることができます。トップダウンの読み方を促す意義は、生徒たちがテキスト全体の構造や主題を把握し、情報を整理する能力を高めることにあります。これにより、高度な読解力を身につけ、より深い理解を得ることができます。

コメント

ChatGPTによる文章、いかがでしょうか。(個人の感想で言うと、)全体的にどことなく機械が生成した感じがあるようにも思えます。また「日本語教育」という側面があまり見えてこない文章という印象を受けました。

しかしながら、

  • 与えられたキーワードを正しく使用している
  • 400字程度の文章になっている
  • 「まず」「次に」「最後に」などを使用し、順序立てた説明になっている

といった点では、指示が良く理解され、構成は整っているといえる、と思いました。

Gemini の解答

では次に、GoogleのGeminiが生成した文章を見てみましょう!

中級読解クラスにおけるトップダウン読み練習:ピア・ラーニング型アクティビティ

ねらい

本アクティビティは、中級読解クラスにおいて、ピア・ラーニングを取り入れながら、トップダウンの読み方を練習することを目的とする。

時間

50分

材料

  • 「高齢者の運転免許の返納」に関する文章
  • ホワイトボードまたはプロジェクター
  • 付箋紙
  • マーカー

キーワード

  • スキーマ
  • 仮説
  • 能動的な読み
  • 相互作用

手順

1. ウォーミングアップ(5分)

  • 前回の授業内容を軽く復習し、トップダウン読みとは何か、その重要性を簡単に説明する。
  • 生徒に、「高齢者の運転免許の返納」について、すでに知っていることを自由に書き出してもらう。
  • ホワイトボードまたはプロジェクターを使って、みんなの意見をまとめ、クラス全体で共有する。

2. スキーマアクティビティ(15分)

  • 生徒を2人1組のペアに分け、それぞれに付箋紙とマーカーを渡す。
  • ペアごとに、ホワイトボードまたは模造紙に、自分たちが書き出した「高齢者の運転免許の返納」に関する情報を整理して、スキーマ図を作成させる。
  • 時間になったら、各ペアが自分のスキーマ図をクラス全体に発表し、他のペアから質問や意見をもらう。

3. 仮説立てアクティビティ(15分)

  • 生徒に、これから読む文章について、スキーマ図に基づいて、2~3個の仮説を立ててもらう。
  • 仮説は、文章の内容を予測するもの、筆者の主張を予想するものなど、自由に設定させる。
  • 時間になったら、各ペアが自分の仮説をクラス全体に発表し、他のペアから賛成意見や反対意見をもらう。

4. 精読アクティビティ(15分)

  • 生徒に、ペアで「高齢者の運転免許の返納」に関する文章を読む。
  • 読みながら、自分たちの立てた仮説が正しかったかどうかを確認し、必要に応じて修正させる。
  • 文中の重要語句にマーカーを引いたり、メモを取ったりしながら、能動的に読み進めるように促す。

5. ディスカッション(10分)

  • ペアごとに、読んだ文章の内容について話し合い、自分の理解を深める。
  • それぞれのペアが、文章の内容を要約したり、筆者の主張を説明したりして、クラス全体に発表する。
  • 他のペアから質問や意見をもらい、理解を深める。

トップダウン読みを促す意義

トップダウン読みは、読者がすでに持っている知識や経験を活用して、文章を理解する読み方である。この読み方を練習することで、以下の効果が期待できる。

  • 文章全体を俯瞰的に理解しやすくなる
  • 重要語句やキーワードに集中しやすくなる
  • 筆者の意図を推測しやすくなる
  • 読解速度が向上する
  • 能動的に文章を読む習慣が身につく

ピア・ラーニングを取り入れることで、生徒同士が互いに学び合い、理解を深めることができる。また、自分の意見を積極的に発表したり、他の意見に耳を傾けたりすることで、コミュニケーション能力も向上する。

まとめ

本アクティビティは、ピア・ラーニングの良さを生かし、かつ、トップダウンの読み方を促すことができるように設計されている。生徒が主体的に学習に取り組むことができ、読解力とコミュニケーション能力の向上に効果が期待できる。

発展

  • 読んだ文章を基に、ディベートやロールプレイングなどの活動を行う。
  • 異なるジャンルの文章を使って、トップダウン読みの練習を行う。
  • 生徒自身が文章を用意して、ペアでトップダウン読みの練習を行う。

コメント

Geminiによる文章は、ChatGPTとは大きく異なった形で生成されました。

問題文には(例年通り)400字程度で書くという指示がありましたが、Geminiの解釈では具体的な授業の活動案を提案する形を取っています。

原稿用紙に文章を書いていくものとは違うものが生成された形です。これは意外な結果でした。

  • かなり細かいレッスンプランになっている
  • キーワードはただ羅列されただけのところもある
  • ただし、文章の中にも各キーワードを使用している

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まとめ

ChatGPT(Open AI)、Gemini(Google)、それぞれの生成AIに、令和5年度の日本語教育能力検定試験 論述問題 試験IIIの問題17 を 解答させてみる実験の結果をご紹介しました。

いかがだったでしょうか。

AIが一定の条件のもとで専門的な記述文を生成することは不可能ではないながらも、解釈の程度・想像力・構成力等の点でまだまだ人間の方が優っていると感じました。

また、レッスンプラン作成にAIを取り入れていくことの可能性が見えた結果でもありました。今後、工夫次第では、授業準備の大幅な時間短縮を図ることもできるのではないでしょうか。

今回は出題そのものを活かしてプロンプトを入力しましたが、プロンプト次第では、よりよい文章が生成されるといったこともあるかもしれません。

生成AIが記述設問に対してどのような文章を生成するか、気になった方はご自身でも色々試してみてくださいね。

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